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形式 | 尾根城 |
年代 | 戦国時代 | |
城主 | 武田家による城番制か | |
遺構 | 郭・土塁・堀切・縦堀 | |
所在地 | 甲府市上積翠寺町 | |
訪城日 | 2007.12.12 |
【位置】 武田館の詰の城、要害山城の南の尾根上にある。麓の根小屋地区には、要害山城と熊城の城番と、両城の間にある水の手の、沢の管理に当たっていた武士の館があったと、説明板に書かれている。熊城の南西麓には、岩堂峠から甲府へ通じる古道が通っている。 |
【歴史】 熊城に関する資料は、『甲斐国志』に城址がある事が書かれているのみで、城主や使用当時の文書は発見されていない為、詳細は不明であるが、要害山城の支城として造られ、改修も受けていると思われる。 |
【遺構】 まず、尾根先端の登城口にある石切場跡の周辺にも、遺構らしき小削平地を伴った櫓台地形や、それを囲む様に岩場を掘った空堀地形、段郭に似た削平地も見られ、遺構なのか石切の場で使っていた所か、考えさせられる場所です。そこから細尾根上に出て進むと、尾根が広くなる所で手前に岩が3個並んでいる9の郭に着く。二段になっているようで、手前は傾斜しているが、上段は削平された小郭で、背後に3m幅の一の堀切が控えている。堀を越えて8の郭を回り込んで上ると、平らな2の堀のテラスに出るが、虎口状の溝が残っている。堀を上り、右に石が混ざる崩れた土塁を見ながら、左斜面には縦堀がある7の小郭を過ぎて上ると、右側斜面に縦堀群の一部が見え、進むと崩れ止の石積が残る小郭に着く。その上には、右側(南)に低い土塁が残る6の郭があり、直ぐ上にも5の郭、広い4の郭が見える。6・5の郭は共に狭く、それに比べ4の郭は広く、土塁が西から南側にかけて残っている。西側に5の郭から回り込んで入る、虎口状の浅い溝がある。東側の土塁は3の郭寄りに開口部があるが、何の為かは分からない。3の郭も狭く、東側に石で補強された低い土塁が残る。3の郭の背後に2の郭、堀へと続く。堀の主郭側下部に、石積が一部綺麗に残っている。堀を上がれば主郭である。主郭は上下二段からなり、下段は南側に低い土塁を伴い、西に虎口状の浅い溝がある。上段は下段側以外の三方に残っている。上段には城主と数人の側近が、構えると想像できる。主郭背後には一番大きい堀切が残り、更に10の郭、最後の堀切と続き、その先の尾根は小丘状の物見台で終わる。 ★城の構えとしては、郭の土塁と縦堀群が南斜面に集中しているので、岩堂峠から下る古道側斜面への防御に重点を置きつつも、尾根筋からの攻撃も考慮して造られており、要害山城と水の手の沢を守る役割を持っていたと思われる。 4の郭以外はどの郭も狭く、少人数で守る城であり、縦堀群等で敵兵が斜面を左右に行動出来なくし、有効的に狙えるよう工夫されている。また、城内には多数の石が使われたり散乱しているので、麓の石切場で調達されたのであろう。 |
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【左上】石切場近くの尾根先端部に残る櫓台地形で、上下二段になっており、手前の 堀地形は右へ行くと左に折れている。当時の遺構かは不明。 【右上】一の堀切: この堀切には岩が露出していて、見応えがある。岩には当時のノミの 跡が数ヶ所残り、築城の光景が目に浮かぶようである。 |
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【左上】8の郭と2の堀(左)を見たもの。2の堀は両側が掘り下っていないので、堀切では ないようだ。 【右上】6の郭(手前)から、5の郭、4の郭を見たもの。段々に構えられているのが分かる。 右側(南)には低い土塁が残っている。郭への通路は、左を廻って入っていたよう である。 |
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【左上】4の郭の南側土塁。一番広い郭で、籠城時には寝泊りの場所として使われていた と思われる。 【右上】主郭下段から、下方の3の堀と2の郭を見たもの。3の堀も両側が掘り下っておら ず、テラス状である。2の郭は小さく塚状なので、櫓台と思われ、石が沢山露出し ているので、石積で囲われていたものか。 |
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【左上】主郭下段から上段を見たもの。中央の段に、岩と石積を使って補強している。 【右上】主郭上段に残る石積と土塁で、下段側を除く三方に見られる。 |
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【左上】10の郭から二の堀切を挟んで主郭上段を見たもの。堀切は、上幅16m程で、 下方に土橋が架かっている。 【右上】10の郭を三の堀切から見たもの。10の郭は、三の堀切側と南側に土塁の 痕跡がある。 |
【道】 武田神社から積翠寺温泉を目指すが、途中Y字路を右へ進む、積翠寺のバス停辺りの右に「日吉神社・要害山城入口」の案内板を右折し、瑞岩寺・日吉神社を過ぎると、左の要害山城への登り道と案内板過ぎると、正面に祠があり、右へ橋を渡る道と真っ直ぐ進む別れ道の所に車を止め、歩いて真っ直ぐ行くと直ぐに、左から流れる沢の右沿いにスロープがあり、少し上り、右の小崖の崩れから上へ上がると道が有るので、左側の削平地を徐々に左側の高い方へ上がって行くと、石切場上の尾根へ続く山道がある。 |