形式 | 山城 | 【位置】 鎌倉街道が通る御坂峠に位置し、郡内から甲斐国中へ出入りする交通の要衝である。山上には、長さ600m、幅150m程の城址が残る。 |
年代 | 天正十年(1582) | |
城主 | 後北条氏 | |
遺構 | 郭・土塁・空堀・縦堀 | |
所在地 | 富士河口湖町・笛吹市御坂町上黒駒 | |
訪城日 | 2007.5.23 |
【歴史】 天正十年(1582)六月に織田信長が、本能寺の変で討死すると、甲斐は北条氏直と徳川家康との争奪の舞台となる。北条氏は、同6月中に郡内を制圧し、北条左衛門佐が御坂城の築城を開始し入城する。同八月十二日に甲府へ攻め入ろうとしたが、八代町の小山城から出j陣した徳川方の鳥居元忠と黒駒で合戦になり、敗れて御坂城へ引き返した。同年十月二十九日に、徳川氏と和議が成立して御坂城は廃城となった。 |
【遺構】 遺構は良く残っていて、北条氏後期の縄張りが見られます。両峰が高く、城の主要部が低い位置にある特異な城です。とにかく広いのでA〜E区に分けて説明します。 (C区)北の尾根側に最初の堀切があり、岩の右に土橋が残ていまして、両側は堀下っています。土橋を渡り馬出しの虎口を通り、岩が点在する空堀を超えると、北から西に土塁があるC区へ入ります。郭内は二段で構成され、南側は自然地形の斜面になって両側に横堀が伴い、B区へ下って行きます。この東側の横堀は途中から縦堀に変化して下って行きます。西側には堀で囲われた角馬出しが二ヶ所構えられ、斜面に造られている為に、内部は段状に削平されています。ここの堀はなかなか良いです。 (B区)鎌倉古道が城内を通り抜ける部分で、茶屋跡や天神の祠もある所です。北側に三段の郭を構えて、北側は空堀で隔て、南側のA区とは土塁で区切られています。 (A区)方形で三つの虎口を備えて、空堀で厳重に囲われていますので、主郭と思われます。内部は北西向きに二段に削平されて、下方を見れるようになっています。南の虎口を出ると丸馬出し状の郭があり、外側に三日月堀も残っていますから、必ず見て頂きたいと思います。 (D区)細長い郭で二段になっています。西端ではE区に向って自然地形の急斜面を上って行く形は、C区と同様です。西側は見応えのある長い土塁がありますが、これに沿って北にはE区からクランクを経て下りて来る横堀と二本の縦堀を備えて、河口湖側も横堀で守っています。ここの堀がクランクする部分もお勧めします。 (E区)西の尾根に対する郭で、狭い二段郭から成って、平虎口を設けた土塁で仕切られています。西尾根からは、食い違い状の堀切の土橋を渡り、食い違い虎口を右へ入る形です。ここの堀切の、北側堀下りも横堀が分かれているのを見れます。 (その他)兵が駐屯した場所としては、D区と今回は未確認ですが、D区の南斜面に縦堀を伴って段郭が縄張り図に見られますので、この地区が充てらていたようです。昔の鎌倉古道が笛吹市側へ下りるルートは現在の道ではなく、城址を過ぎると直ぐ左斜面へ九十九折に下りていたようで、道の下には木戸だった小郭が数段残っています。 城は細長い縄張りで、一ヶ所を抜かれると割れてしまうので、どの様に守るつもりだったのか考えさせられてしまいます。 |
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【左上】北尾根の堀底に岩がある堀切と馬出しです。現在道は岩の左を通っていますが、 本来は岩の右側に残る土橋を渡って馬出しへ入っていたと思われ、通路と虎口 状の溝が見られます。 【右上】C区の高さ1m程の西土塁を北から見たものです。左側は郭内です。 |
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【左上】C区の西側にある空堀から、角馬出しへ堀が分岐する部分を郭から見たものです。 中央の人物(南武さん)より先へ堀が下りて左へ曲がっています。左の人物 (のりおさん)側が角馬出しです。 【右上】左上写真の堀が、分岐して左へ曲って下りて来ています。 |
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【左上】A区の主郭を下から見上げたものです。段になっていて、奥の開口部は 丸馬出しへ開く虎口です。右には土塁も見えます。 【右上】丸馬出しの三日月堀です。少し埋っていますが左先へカーブしているの が分かります。左が丸馬出しの壁面です。 |
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【左上】主郭北西の空堀で、D区北西の空堀へ繋がっています。 【右上】D区内を主郭方向から見たもので、右に左下写真の土塁が走っています。 |
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【左上】D区北西の長土塁です。現在土塁上には、ハイキング道が通っていますから、 通り過ぎてしまわない様に! 【右上】D区北西の空堀の、屈折している部分です。先の左に縦堀が下りています。 |
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【左上】E区の上段郭内部を北側から見たものです。左右の土塁に挟まれた、細長い郭 です。 【右上】西尾根側の堀切で、北側の堀下り部分です。右へ横堀が分岐しているのが分か ります。 |
【道】 旧御坂峠にある、天下茶屋周辺のスペースに車を置いて、左側のハイキングコース案内板前から登り道があります。最初は急な九十九折を15分程登ると、稜線上へ出ますので、「御坂峠」方向へ左へ進みます。道なりに1時間15分程行きますと、最初の堀切に着きます。途中休憩を入れてゆっくり行きましょう。 |