形式 | 山城 | 【位置】 韮山城砦の土手和田砦より、狩野川を挟んで西方。大男山から北東に尾根尾根続きで標高150mの山上にある。 |
年代 | 戦国期 | |
城主 | 後北条氏・筒井定次か | |
遺構 | 郭地形・堀切・枡形虎口・切岸 | |
所在地 | 伊豆の国市南江間 | |
訪城日 | 2013.8.22日発見、28日 |
中央右側のなだらかな山に古城寺遺構が残り、左側の山が大男山である。 |
【城歴】 当地の周辺に付いては、「図説 駿河・伊豆の城」の中で、城址と関係があると思われる「古城寺」「古城寺山」「山之根」の字名の記載が有るのみである。また、天正18年(1590)の豊臣軍に依る韮山城攻めの時の陣形を記した毛利家文書、「小田原陣之時韮山城仕寄陣取図」の位置を見ると、韮山城の西方面山上に筒井氏の記載があり、当山もしくは北方の岩崎山に、筒井定次が布陣した可能性があり、岩崎山にも砦遺構を確認している。 |
【遺構】 去る8月の初めに、大男山に付いてネットで検索をしていたところ、或る動画投稿サイトに行き着いた。北東尾根から大男山への登山の様子で、その部分を見ていると酷い藪の中に何段かの切岸や平場、鞍部に二重堀切の様な地形が映っていた。これを確認すべく8月22日(木)に、比較的登り易そうな鞍部へと続く谷間を選び、道筋を難無く見付け探索を試みた。 谷間を登って行くと大岩が一つと石列のある平場に着き、鞍部までの斜面に狭い段々が続いているのが見える。踏み跡を辿り鞍部に上がると、石積が一部に見られる小郭らしきピークとそれを挟んで西側に堀切と土橋地形、東側に土橋地形と竪堀らしき浅い溝が下っているが、段々により改変されているのかハッキリしないものがある。東に斜面を登ると直ぐ長方形の郭らしき平場になり、奥の斜面手前には埋もれた様に幅が狭く、両側に堀下りが残る堀切(6)がある。そこから直ぐ上には堀切を見下ろす位置に明確ではないが狭い平場を過ぎると、一気に自然地形を登る。山上に着く手前には、搦め手口と思われる、先程と同じレベルの堀切(5)と小型の枡形虎口状遺構(A)が現れ、更に先の正面には主郭に相当する平場(1)に付随した中型の枡形の様な方形地形があり、左側には腰郭状の平場も見られた。ここ迄の遺構の発見で概ね城址と判断した。 そこより主郭に相当する平場に入ると右側(東側)に土塁状の盛り土も見られ、右側(東側)には腰郭状の平場も付随している。 ここより北側には、腰郭状の平場と土橋の様な小さな土塁状の高まりが見られ、先には微高低差で段状の平場や東側に長い腰郭状の平場が残っている。更に北へ尾根を下ると切岸を伴った郭状の平場が続き、落差8mの切岸を有する所(3)もあって、長浜城や大見城を連想させるが、小さな枡形状のものや竪堀状の溝もあった。後日、8月28日に再訪し、東側の小尾根に小平場、堀切とそこから両側に下る竪堀状の溝を見付けるに至った。また、前述の動画から大男山にも登ってはいないものの、山頂に平場や烽火台状の小丘が映っていたので城郭遺構が有ると考えていた。 以上の事から早速、静岡古城研究会の水野会長と連絡を取り、暑い中ご足労を頂いて9月7日に水野会長と小川理事で大男山へ、21日には水野会長、宮川理事、小川理事により古城寺の調査をして頂きました。遺構の判断が非常に難しかったそうです。結果的に大男山山上の方は、三角点のある小ピークを残して全て畑地跡との事で、古城寺も多くは畑地跡であるが、城郭と考えられる遺構も残されているとの連絡を頂いた。この調査に伴い、静岡古城研究会に於いての調査報告書「古城寺山遺構(別称:古城寺遺構)」を、承諾を得たので紹介します。 |
静岡古城研究会作成 |
静岡古城研究会作成 |
東側から見た頂部 |
小型の枡形虎口状遺構(A)。右が入口。 |
【左上】鞍部の小ピークは石積みが一部使われている。 【右上】鞍部から東へ少し高い位置にある郭状の平場と堀切(6)(手前)を東側から撮ったもの。 上面は埋没している。 |
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【左上】堀切(6)の堀下りを撮ったもの。 【右上】堀切(5)を枡形虎口状遺構(A)から撮ったもの。この堀切も上面が埋没しているようだ。 |
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【左上】枡形状虎口遺構(A)側から頂部西側に付随する方形部分を望む。 【右上】主郭に相当する頂部を西側から見たところ。 |
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【左上】頂部南側に付随する腰郭状の平場であるが、畑地跡。 【右上】頂部(1)から東へ一段下がった広い頂部(2)。旧地形は改変され微高低差の畑地跡が埋もれており、 城郭遺構があった可能性もある。 |
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【左上】尾根北側の平場(3)。縁に僅かな高まりも見られる。 【右上】平場(3)の落差8m程の切岸。下方にも平場が残っている。 |
【道】 県道129号線を南下し、途中西側の「専門学校白寿医療学院」へ向かうが、右折する所の左側広場に駐車し、そこから徒歩で向い一つ目の十字路を左折する。道なりに白寿医療学院の敷地の終わりを右折し次を左折して少し上り、左側の民家が無くなる辺りに、右へ入る藪が生えた道跡を進むと25m程で谷間の入口に着き、先に見える段差を上がると道が続いている。これを辿ると大岩が一つある平地に少しで着く。ここから鞍部まで段々になっているが、踏み跡を辿って九十九折りに登り5分程で着く。 |